さてでは、毎年11月の終わりか、12月のはじめに生ハムを仕込みます。温度調節が可能なスモーキングルーム(燻煙室)がないので、外気温が下がって初めて制作に取りかかることが出来るようになります。
そうして仕込んだ生ハムがあるときだけ、ピザのメニューが登場します。
近頃世間では自家製とか手作りとかが売り言葉としてのみ氾濫してしまって、実際の消費者は冷めた目でみていますね。消費者は手作りなんて言葉を信じてない。 さてでは自家製である、手作りであると言うことは当たり前のことと考えるので、あえてそのような表示はほとんどしていません。
わずかに、ソーセージとか生ハムなどに自家製と書き添えてはいます。
それでも、注文されたお客様に「この生ハムは一ヶ月かかって出来上がるんですよ」と説明して初めて「えーっ、本当にここで作ってるんだ」と驚かれる始末で、こっちの方がビックリしてしまいます。
その店、その場所で、その当事者が作るという、本来の意味で、自家製とか手作りという言葉が了解される日はもう来ないのでしょうか? さらにあえて言うならば、「自家製」にも「手作り」にもそれ自身にはさしたる意味はないものと思っています。
そのことによって、そこでしか得られないもので、独特の味わいがあり、おいしいものであって初めて、「自家製」も「手作り」も意味のあるものとなるのだと、私は考えています。 と言うわけで、今回は「生ハムのピザ」を取り上げますが、ベースのトマトソースに合えば、トッピングするものは何でもいいので、皆さんで工夫して、ウチだけのピザを作ってみて欲しいと思います。
1. パイ生地(練り込みパイ生地)の作り方 この生地はいわゆるピザの生地ではなくて、さてではチキンパテなどを作るために用意するパイ生地です。
なにしろ小さな店ですから、何もかも専用品を作るわけには行かないので、応用できるものは出来るだけ 幅広く使ってゆくのが知恵の一つです。
でもこれで軽くてバターの風味のきいた、とても美味しいピザが 出来ます。
【材料:4枚分】
強力粉........200g
無塩バター(またはケーキ用マーガリン)100g
卵黄..........1個分
水..............100cc
塩......小さじ1杯
【手順1】 ボールにバターを入れ室温でやわらげてから、木しゃもじで練って、ゲル状にする。(*1)
【手順2】 ふるった小麦粉を(*1)に加えて、均質に練り合わせる。(*2)
【手順3】
卵黄と水と塩を(*2)に加えて、軽く混ぜ合わせる。
混ざり合うとボールにはほとんどくっつかない状態で、全体を取り出すことが出来る。
これをラップして、冷蔵庫で一晩寝かせる。
2. 生ハムのピザの作り方
【材料:1枚分】 パイ生地...............100g トマトソース..........80g バジルの葉...2枝ぐらい ゴーダチーズ(モッツァレラチーズ)60g 生ハム.....................2枚 打ち粉....................適量
【手順1】 1で作っておいたパイ生地を100g取って、手に少し粉を振って丸め、円く平たく手で伸ばしたものを、打ち粉をふった平らな台の上にのせ、麺棒を使って、円く伸ばしてゆく。
直径23~24cmぐらいの円形にする。(*3)
【手順2】 天板にクッキングシートを敷き(*3)で円く伸ばしたパイ生地をのせ、分量のトマトソースをパイ生地の上に薄く均等に拡げる。(*4)
【手順3】 小さくちぎったバジルの葉を(*4)の上に散らして、その上にチーズをのせる。
【手順4】 200度のオーブンで7~8分、焼く。
【手順5】 オーブンで焼いている間に、薄切りにした生ハムを8等分にしておく。
【手順6】 ピザが焼き上がったら皿に盛り、8等分して、それぞれに一つずつ生ハムをのせれば出来上がりです。